商売は女々と口々を狙え
ユダヤの格言の中に「商売は女と口を狙え」というものがある。どういう意味かというと、「女性が欲しがるもの」「食事に関するもの」を取り扱っていれば商売は成功しやすい、ということである. - P162
このビートルズの契約条件は、当時としても最低レベルに近かった。ブライアンはデビューすることを最優先し、契約条件の悪さには目をつむったのである。しかしビートルズ以降に出てきたバンドは、ビートルズよりもはるかに有利な契約を結ぶケースもあった。 - P178
その契約とは「1963年2月末から3年間、ジョンとポールの作った曲はすべてノーザン・ソングスに帰属する」というものである。つまり、ディック・ジェイムズは、1963年から1966年までのビートルズの曲のほとんどの著作権を手に入れたということである。この契約が後にどれほどの財産になるかは、この当時、誰もわかっていなかった。ディック・ジェイムズも、ブライアンも、そしてビートルズも……。 - P194
このディック・ジェイムズとビートルズの感情のしこりが、結果的にビートルズの著作権を散逸させてしまう遠因となる。ディック・ジェイムズが、ノーザン・ソングスの持ち株をATVに売ろうとしたとき、ビートルズは待ったをかけた。 「自分たちが買うから、待ってほしい」 と。ディック・ジェイムズも、ビートルズが買うというのなら、いったん、ATVへの売却は待つ姿勢を見せた。しかし、両者の間には、感情のしこりがあったために株式の売買は成立せず、ついにディック ェイムズはATVに売ってしまうのだ。 - P202
ビートルズ以降、著名なミュージシャンが自曲の著作権を手放すことはほとんどなくなった。それはレノン=マッカートニーの苦悩を見ているからであり、著作権を持っていれば莫大な富が得られることを知っているからだ。先駆者というのは、損をすることもひじょうに多いのである。 - P207
ビートルズはアップル社の設立趣旨をこう説明していた。しかしアップル社には、企業として大事な部分が欠如していた。数字がわかる人間。が誰もいなかった。
前述した「ビートルズ・プロジェクト"は、相応の専門知識を持っている者で構成されていた。ブライアンは、ミュージシャンのマネージャーはしたことがなかったが、レコード店経営をしていたし、ジョージ・マーティンはポップスの専門ではなかったが、レコーディングに関してはプロだった。ディック・ジェイムズは、音楽出版社の経営は長くなかったが、音楽業界には精通していた。 - P220
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